アビシニアン
英語表記:Abyssinian
起源 :エジプト、東南アジア、インド(複数の説)
毛の長さ:短毛種
主な毛色:レッド、ルディ、ブルー、フォーン
主な体形:フォーリンタイプ
主な性格:活発で好奇心旺盛
鳴き声 :あまり鳴かず、鳴き声も小さめ
平均体重:3~5kg
平均寿命:12~15年
公認団体:CFA 、 TICA、 FIFe 、 GCCF
近縁種:ソマリ
著名な飼い主:徳井義実(チュートリアル)
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アビシニアンの歴史と由来
起源は諸説あって確定していない
アビシニアンは古くから存在する品種の一つですが、その起源は謎に包まれています。
その起源は長年にわたり、ナイル川流域が原産地であると考えられてきました。
その理由は簡単で、古代エジプトの猫の像や壁画の描写がアビシニアンの座った姿ととても類似していたからです。
しかし、最近の遺伝子の研究により、その起源は東南アジアやインド洋沿岸であるという説も出てきています。
最古の記録はオランダの博物館
アビシニアンとして知られるようになる猫の現存する最古の例は、オランダのライデン動物学博物館が所蔵する剥製で、これは1834年頃に博物館のために購入されたものです。
その標本には「Patrie, domestica India(原産国インド)」と書かれており、この猫が東南アジアやインドを起源とすることがさらに有力となりました。
名前の由来は地名「アビシニア」から
アビシニアンという名前はアビシニア(現在のエチオピア)に由来していて、1860年代のアビシニア戦争後、この品種の元になった猫がイギリスに持ち込まれたと言われています。
最初期のアビシニアンは現在のトレードマークであるティックコートを持っていましたが、現在のアビシニアンの見た目とは明らかに異なり、ずんぐりした体つきで耳も短かったといいます。
その後、イギリスに渡り、現地の猫との交配により、現在のアビシニアンキャットが誕生しました。
要点まとめ
・起源はエジプトとされていたが、最近の研究では東南アジア、インドが有力
・名前の由来は地名アビシニア(現在のエチオピア)から
・初期は今と違う見た目だったが、イギリスで交配を重ねて今の姿になった
アビシニアンの見た目の特徴
アビシニアンの毛色
現在アビシニアンの毛色として公認されている色は「レッド」、「ルディ」、「ブルー」、「フォーン」という4色です。
・ルディ:黒に近い茶色の縞模様
・ブルー:青みのあるグレー
・レッド:赤系の縞模様
・フォーン:金色がかった茶系
また、公認はされていませんがその他にも様々な毛色があり、ライラック、シルバー、チョコレートなど、その毛色は10色以上にのぼります。
ティッキングという複数の色を魅せる毛色
アビシニアンの被毛の最大の特徴は、遺伝的変種である複雑なティッキングと呼ばれる毛質です。
ティッキングとは、1本の毛に2~4色の縞模様を秘めた、変化する毛色をいいます。
具体的には、毛先に向かって色が変わる「ティップ」と、縞模様を意味する「タビー」が組み合わさった毛色で、光の当たり方で見える色が変わり、織物のような濃淡が美しい毛色です。
アビシニアン以外のティッキングの猫ですと、ソマリ、シンガプーラ、ロシアンブルーなどがいます。
アグーティと呼ばれる毛柄
とても細かい縞模様のため、一見模様が見えにくいのですが、この繊細な縞模様をアグーティと呼びます。
アグーティの毛柄の遺伝子は他の縞模様よりも優性的に働き、とても遺伝しやすいことでも有名です。
毛色とも密接にかかわるため、アグーティの毛柄は「ティックドタビー」とも呼ばれています。
クレオパトララインに縁取られた瞳
公認されている瞳の色は、グリーンとゴールドの2色となります。
その瞳の周りはクレオパトララインと呼ばれる黒いアイラインで縁取られています。
美しくカールした耳
美しい毛色以外に、アビシニアンの最も印象的な特徴は、体に対して大きく、前方を向いていて、よくカールしている耳である。この耳はくさび形の頭の上に乗っていて、大きなアーモンド形の目を警戒しながら見ています。
フォーリンタイプというスリムで筋肉質な体形
アビシニアンの体は細く、特にスマートで優雅な印象です。
このようなスレンダーで筋肉質な細身の体形を、フォーリンと呼びます。
猫の体形の種類
・フォーリン
・セミフォーリン
・コビー
・セミコビー
・オリエンタル
・ロング&サブスタンシャル
バレエキャットと呼ばれる美しい立ち姿
アビシニアンの自然な姿勢はつま先立ちをしているように見え、そのエレガントな立ち姿はスリムな体系と合わせて、バレエキャットとも呼ばれています。
そして尾は先細りになっており、体長とほぼ同じ長さがあります。
アビシニアンの近縁種のねこ
ソマリ
ソマリはアビシニアンとほぼ同じ品種で、アビシニアンから派生した長毛種です。
アビシニアンは短毛種の猫ですが、ごく稀に長毛の子猫で産まれることがあります。
その長毛のアビシニアン同士を交配させて生まれた品種が、ソマリです。
別名、ロングヘアード・アビシニアン【Longhaired Abyssinian】とも呼ばれています。
名前の由来は地名(ソマリア)から
ソマリの名前の由来は、アビシニアンの由来となったアビシニア(現在のエチオピア)の隣国ソマリアを名前の由来として付けられています。
しかし名前の由来となっただけで、実際にはソマリアとはなんの関係もありません。
アビシニアンの身体の特徴を引き継いでいるため、長毛種とは思えないとてもスリムなフォーリンタイプの体形をしています。
暖かい南方系出身でかつ細身のため、長毛種でありながらとても寒がりです。
毛はダブルコートのティッキングのため光のあたり方で色が変わって見えます。
よくアビシニアンとミックスされる猫種
・アビシニアン×シンガプーラ
・アビシニアン×ベンガル
・アビシニアン×ロシアンブルー
※ミックス猫とは
異なる品種の猫同士の両親から生まれた猫のことです
「アメリカンショートヘア×ペルシャ猫」のように両親の品種が
はっきり判明している場合に使います。
アビシニアンの性格
活発で好奇心旺盛
アビシニアンは驚くほど賢く、好奇心旺盛だとフロリダ獣医行動サービスのアリソン・ガーケンDVMは言います。
このため、アビは生まれながらの探検家であり、家の中のあらゆる場所に出没することが予想されます。
アビシニアンは膝の上でくつろぐ猫ではありません。
この子たちは活発な探検家であり、常に動き回っています。
運動能力が高く、登ったり、ジャンプしたり、走ったり、跳んだり、探検したりするのが大好きです。
まろやかで、寄り添い、のんびりした猫を求めるペットペアレントや、長期間家を空ける人にとっては、チャレンジングな猫になるかもしれません。
また、社会性の高さでも有名で、アビィは人と元気よく遊ぶことを楽しみます。ガーケン氏によると、アビシニアンは常に動き回っている猫なので、膝の上に乗ることはあまり期待できませんが、あなたの一挙手一投足に目を光らせていることは期待できるそうです。
また、アビシニアンは観察力が鋭いので、おやつやおもちゃを隠しておくと、すぐに見つかってしまうでしょう。
人懐こく甘えん坊
アビシニアンは、いつも膝の上に乗っているわけではありませんが、強力なコンパニオン・キャットで、人間と一緒にいることを楽しみます。
飼い方)アビシニアンに必要な飼育環境
アビシニアンは動き回ったり探検したりするのが大好きな猫なので、高い棚や見晴らしのいい場所に登ってみようとするはずです。
高さのあるキャットツリーやキャットシェルフ、スクラッチポストは、アビシニアンが登る機会を十分に与えてくれるので、とてもありがたい存在です。
大きな窓とアビシニアンが座りやすい場所を作ってあげれば、一日中近所の鳥を観察して(おしゃべりもして!)楽しむことができます。
※キャットタワー特集へのリンク
飼い方)アビシニアンの日常のお世話、ケア
アビシニアンは通常の換毛期以外にはあまり毛が抜けないので、毎日のグルーミングは比較的簡単なものです。週に一度のブラッシングで十分です。
他の猫と同様に、アビシニアンも新鮮な水と食べ物、清潔なトイレ、そして爪をきちんと切っておく必要があります。
アビシニアンはとても賢いので、精神的な刺激を与えることは健康維持に欠かせません。
またアビシニアンは、外の世界を安全に探検できるように、ハーネスをつけて歩くように訓練することができます。
アビシニアンにおすすめのキャットフード
アビシニアンは元気で好奇心旺盛なので、難易度の高いフードパズルを与えたり、家の周りにフードを隠して探させたりすることもお勧めです。
飼い方)アビシニアンの健康面や掛かりやすい病気
アビシニアンが人気猫種である理由のひとつに、比較的健康であることが挙げられます。
しかし、飼い主が気をつけなければならない病気もいくつかあります。
進行性網膜萎縮症
視力の低下や喪失につながる遺伝的疾患。
膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)
膝蓋骨の脱臼で、軽度から重度の跛行まで様々な症状があります。
手術が必要な場合もあります。
腎アミロイドーシス
アミロイドと呼ばれるタンパク質が臓器、特に腎臓に蓄積し、腎不全に至る遺伝的疾患。
変形性関節症
猫によく見られる関節の痛みで、特に高齢になると痛みが強くなります。
ジャンプやランニング、階段の昇り降りが困難になる、元気がなくなる、イライラする、トイレを使わなくなるなどの症状が現れます。
腎臓病
腎臓の病気は、頻尿、喉の渇き、毛の薄さ、元気のなさ、口内炎、嘔吐など、高齢の猫に多い症状です。
歯肉炎
歯肉炎になりやすく、経過を見ないと歯周病や歯の喪失につながることがあります。
アビシニアンは扱われるのを嫌がるので、自分で歯を磨く習慣をつけるとよいでしょう。